−あなたを探しに−

とってもとってもとってもとっても考えた。
ああ、これが、答えがないってことなんだ。
それに気付くのに、丸二日かかった。
月からわたし達の星に戻ってきて。
ミシディアでみんなに迎えてもらって。
食べて、飲んで、騒いで、エッジに改めて告白されて。
それに、すぐに返事が出来ない自分に嫌気がさして。
とってもとってもとってもとっても考えた。
それで、ようやくわかったことがたったひとつ。
答えがないことは、答えを自分で作らないといけないんだ。

答えがない問いが世の中にあるってことを、教えてくれたのはローザだった。

どうして、ローザは、セシルのことが好きなの?
それは、リディアが男の人を好きになればわかるわよ

男の人を好きになる。そしたら、答えがわかるのかと思った。
そう思ったわたしの顔を見て、ローザは小さく笑う。
わたしは、知ってるの。
このローザの表情。
ほんのすこーし首を右側にかしげて、ほんのすこーし顔をわたしに近づけて。
笑顔を見せてから、その後囁くように
唇をちょっとだけ突き出した感じで言葉を出すの。
これは、わたしに優しく何かを教えてくれる時の顔。
この顔でローザがわたしに言うことは
ちょっとだけその時のわたしに難しいことなんだって知ってる。

でも、そのときにリディアがもらえる答えは、少し違うはずなのよ
・・・どうして?

ちょっとだけ、心を読まれた気をしてびっくりしながら聞くと、ローザは一度目を閉じる。
それからそうっと瞳が現れて、わたしにとても優しい眼差しをくれた。

わたしはリディアじゃなくて、リディアはわたしじゃないから
そして、わたしはセシルが好きで、でも
この先リディアが好きになる人は、セシルじゃあないと思うわ
だから、わたしの答えとリディアの答えは、同じじゃないの

「エッジ、わたし」
「おう」
「・・・幻界に、行く」
しばらくの沈黙の後に差し出された大きな手。
細いけど、とっても綺麗な筋肉がついた腕。
引き寄せられる感覚と近付く体温。
そのどれもこれも大好きで大好きでしかたがない、大事なもの。
だけど、他にもわたしには大事なものがあって。
どちらも、選べない。
「おめーがそう言うって、本当はどっかでわかってた」
「え」
「俺が嫌いなわけじゃーねーんだろ?」
「嫌いじゃないよ」
「好きか」
「好きだよ」
「・・・そか」

どうしてわたしはエッジのことが好きなんだろう。
そうだね、ローザ。
きっと、今わたし、それを知ったのね。
答えがないことは、答えを自分で作らないといけなくて。
導き出した答えは、今でもまだ、答えをみつけるための手段でしかなくて。

「待っててやっから。待ってられなくなったら、言いに行くからよ」

幻界に戻るわたしを受け止めてくれる。
だから、わたしはこの人が好きなんだと思う。
それはとっても矛盾していて。
好きなら、幻界にいかなくてもいいはずなのに。

とってもとってもとってもとっても考えた。
それで、ようやくわかったことがたったひとつ。
答えがないことは、答えを自分で作らないといけないんだ。

だから、答えをみつけに幻界にわたしは行こう。
もうひとつの大事なものの傍に。
臆病なわたしの後ろには、この人がいてくれるんだもの。



Fin

 



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